4月ですね!
高校生、大学生のみなさま、ご卒業、入社、おめでとうございます! これが新しい生活への第一歩。今の時期ですから、不安な人、どうしたらいいかわからない人、たくさんいると思います。(2020年4月時点)
そんな中でも特に面接時にはわからなかった「ブラック企業」に入社してしまったという人。もしくは、「これってブラック?」という怪しげな企業に入社してしまった人。
今回は私(@MochaConnext)のとんでもないブラック企業に勤めてしまった体験談と、その後についてお話します。
新卒で入社したかなりヤバい会社
わかりやすいように時系列は多少前後してしまいますが、就職活動~入社式、入社後、退職後の話までのお話です。「まあ、それぐらいならね」ということから「えっ、今時そんなことあるの!?」ということまで、レベルはさまざま。
時に共感しながら、時に疑問を持ちながら、時にくすりと笑いながらお読みくださいね。

すべては過去のこと。笑っていただくのは大歓迎!
一体なにがブラックだったのか
ひとえに「ブラック」といっても、私が新卒で勤めた会社の場合、一体なにが「ブラック」だったのか。会社内で独自に定められたルールを一部ご紹介します。
- 入社式後の宿泊研修では夜の外出禁止(部屋から出るのも禁止)
- 同期のみでのご飯および連絡禁止(遊びに行くにももちろん禁止)
- 先輩より遅い出社はありえないので、定時の2時間前には必ず出社&就業は定時の2~3時間後
- ランチタイムなし
- 日報、週報、月報などは就労時間外に
- 毎朝の朝会で誰かしらがスピーチ
- 毎朝腕を後ろ手に組んで社訓を叫ばされる
- 気に食わないことがあればすぐに呼び出し
補足説明①:入社式&社内研修
少し考えただけなので、ほかにもいろいろとあったはず。
うちいくつかの補足説明をすると、某ホテルで行われた2泊3日、土日返上の入社式。朝から晩までみっちり社内研修が行われたあとは、夜も復讐をしておくように言われます。

まるで受験生の気持ちでしたね…。
なお、部屋は2人1組。外どころか、部屋からの外出も禁じられ、研修を行う上司がホテル内を見回る始末です。そう、まさに修学旅行のあの状態!(ビックリ!)
補足説明②:同期飲み禁止の理由
研修が終わって、実際の部署に配属されたあとのこと。まずは同期のみでの飲み会やご飯、プライベートでのやり取りを禁止されました。(もちろん内緒でしていたけどね。コッソリ)
理由としては、「同期だけで集まると会社の愚痴になって、結局はみんなで辞めるだのなんだの、負の感情しか生まれなくなるから」というものでした。つまり愚痴を言われるだけの会社だという自覚はあったわけですね。
補足説明③:ランチタイムなし事件
次に、定時の2時間前に出社というのはそのままなのですが、ランチタイムなし事件についてです。
入社初日って、弁当を作って持って行くべきなのかどこかで買うべきなのか、それすら悩んでしまうもの。当日は念のため持って行って最終的にはほかの人たちに合わせようと思っていたのですが、先輩たちはコンビニに行く模様。
誘われたのでついて行ってみると、エレベーターの中で一言。
「本来はランチタイムに買いに行く時間なんてないから、パンでもおにぎりでもいいから持って来てね?」

ここで「パンでもおにぎりでも」というのがミソ!
なぜなら、ランチタイムにしなければならない作業があるから。となると、当然片手は塞がってしまうわけですよね。つまりパンやおにぎりなら片手で食べられる。
片手で作業して、片手でランチを食べる方式の誕生です!
補足説明④:日報、週報、月報作成で睡眠時間削減
営業職だったこともあって、日報、週報、月報の作成(しかも手書き)は必須でした。
それだけでちょっと非効率な気はしますが、まあ、いいとします。毎日なにをして、次の日、週、月にどんな目標を立てるかというのを考えるのは、大事なことです。
問題は、これをすべて家に持ち帰って就労時間外にやらなければならなかったということ。
先述のとおり、就業は定時の2~3時間後(もちろんサービス残業!)だったので、帰宅後となると夜中からその作業を行うということになります。そして、定時の2時間前には出勤。
そんなこともあって、当時の睡眠時間は平均約2時間程度でした。
補足説明⑤:毎朝のスピーチとは?
毎朝気を引き締めるために行われていた朝会。集合がかかると、そのときなにをしていても「ハイッ!」と小走りで上司のもとへ集まらなければなりませんでした。まさに体育会系の極み!
そこで行われるのは点呼、ならびにスピーチ。
日替わりで、誰かしらが5分間のスピーチをしなければならなかったのです。内容は決められていなかったものの、例えば映画や本をもとにした精神論だったり、営業につながるような話だったり、自己啓発だったり、スピーチをするにはとにかくプライベートの時間割いて勉強をする必要があったのです。
人数は大して多くない会社だったので、1カ月に2回は回ってくる当番。ただでさえ睡眠時間が削られているのに、超つらい!
大人になってからの勉強というのは必要があったり興味があったりするからするもので、強制された途端ただの地獄。現に、聞いていて身になる話はあまりなかったように思います。
補足説明⑥:すぐに呼び出される問題
新入社員として慣れない作業に取り組む以上、最初のころにミスがあるのも、上司からのお叱りを受けることがあるのもある意味当然のことと言えます。
でも、某企業の呼び出しかたはちょっと違いました。
「ちょっと面貸しな(※注:女性)」
外に呼び出されて、怒られるわけです。業務内容についてというよりは、主にこんな感じ。
- 怒られているときの表情が気に食わない
(営業職なのだから、怒られている最中も笑顔でいるようにとのこと) - 会社で同期と仲良くしているのが気に食わない
- え、バカなの?
今思えば、仕事をするうえでなんの参考にもならないものばかりですね。でも当時は新入社員。こんなどうしようもない内容でも、真面目に聞いて落ち込んでしまうんです。
ヤバい会社に勤めたら死にそうになった
結果的に私が入社した会社は、真っ黒くろ。そんな企業に新卒で入社してしまうと人間はどうなってしまうのでしょうか?
洗脳状態に陥る
私は海外生活が長かったこともあって、普通に日本の中学から高校へ、そして大学、就職とストレートに進んだ友人に比べて、1年の遅れを取っていました。
つまり、私の友人は全員すでに社会人2年目に差し掛かっていたということ。社会人の先輩です。
私が入社した企業はギリギリ実家から通勤できる距離ではあったものの、会社の命令により徒歩圏内でひとり暮らしをするようになり、友人から社会人としてのアドバイスや経験談を聞くことも叶いませんでした。
それに加えて、同期との接触禁止と極端な睡眠時間の削減です。地元の友人と連絡する気力さえ削がれるようになるまでに時間はかかりませんでした。そう、これが洗脳のはじまり!
社内研修時に外出禁止令が出た時点で少し疑問を持っていたものの、みんな同じ条件で頑張っているので文句を言えるはずもなく。
そうこうしている間に怒涛の連勤がはじまり、睡眠不足で順調に思考力が奪われると、これが当たり前のことなんだと認識するようになるのです。
その後はもう、朝と夜のトータルで4時間以上もの残業があっても、理不尽な呼び出しをされても、ランチタイムがなくても、なんの疑問も抱かずただルーティーンワークをこなしていくだけの機械人間と化しました。ちなみに先輩たちの口癖は「ノーは聞かないから。お前らが言っていいのは“イエス”か“ハイ”だけだからな!」です。

軍隊ですか?
入室前に必ずトイレで深呼吸
なにをしてもしなくてもとりあえず怒られるので、いつの間にか出社するのが恐怖にすら感じていた私。
会社では常に笑顔でいることが求められたということもあり、自分の部署がある部屋に入る前には必ずトイレに立ち寄り、鏡に向き合ってまずは深呼吸。それから自然な笑顔の練習と、落ち着いた状態で入室できるよう心がけていました。
人の悪口を言うようになる
その会社には「先輩を笑わせたり話を盛り上げる(切り出す)のも部下、後輩の仕事」という習慣がありました。なにかをすれば必ず叱られる環境下でのこの条件は、かなり厳しいものがあります。でも、ひとつだけ笑ってもらいやすい内容があったんです。
それが、人の悪口。
誰かひとりをターゲットにすると、集団心理が働いてほかの人間と仲良くなれる。学生時代にそんな経験をしたことがある人も少なくないのではないでしょうか。
私の場合は営業職だったので、同期や先輩をけなすのではなく、例えばクライアントだったり外出先で出会った人の話だったりと、職場で角が立たないような人の話題を挙げていました。そうしないと笑ってもらえない。面白くないと怒られるからです。先輩や上司にとっての面白いことが「人の悪口」なら、そうするしかないと思っていました。
でもそれが本当につらかった。
私が10代で海外に出たという事実の背景には、学校にはびこるそんな当たり前の風潮が嫌だったということもあったので、まさに逃げられない現実にグッと引き戻される感覚でした。
ここでさらに精神がすり減っていきます。

ちなみにここまででまだ入社から2カ月と経っていません!
「辞める」という選択肢がなくなる
転職という選択肢に対する抵抗感が薄くなってきた日本の現代社会でこのような話を聞くと、「だったら辞めればいいじゃん!」と思う人も少なからずいるに違いありません。事実、あとから考えれば確かにそうなんです。
あまりにつらかったら辞めればいい。精神に支障をきたすほど頑張る必要なんてなかった。
でも、洗脳された状態になる、あるいは精神的に追い詰められすぎると人間、「途中で投げ出す」という選択肢が頭の片隅にも浮かばなくなることがあるのです。
残されるのは続けるか死ぬかの2択
極端な選択肢に思えますが、実際の話。
「辞める」という選択肢を失った今、どんなに過酷な労働環境でもひたすら耐え忍んで続けるしかありません。それができないのなら、死ぬしかない。
電気を点けても部屋の中はなんだかどんよりして見えて、キッチンに包丁が置いてあればそれが刺さったときの痛みを想像する。ビルを見上げては、ぼんやり“その瞬間”のことを考える。
このころになると、学生時代に仲の良い友人とはすでに距離を置き、親とも連絡を取らないようにしていました。誰かの明るい声を聞くのも、地元の話を聞くのも、すべてが嫌でした。気付けば3カ月間もスマートフォンの電源が切れたままになっていました。
そんなことにも気付かないまま、その期間を仕事のみに当てていたのです。
朝起きたら身体が震えた
入社から半年ほど経ったある日のことです。
いつものように2時間ほど寝て(もはやほぼ仮眠状態)6時ごろに目覚めると、寒くもないのに突然身体が震え出しました。あまりにもガタガタ震えるので、最初は地震かと思ったほどです。
いつもは嫌々ながらもなんとか布団から這い出るものの、そんな気力もなく、まさに「なんかもうどうでもいいや」という気分。
とにかく体調に異変を感じた私は、それでも頑張ってリビングまでたどり着くとまず熱を測りました。
なんと、高温も高温。40度を記録!
ただの高熱と言えばそうなのですが、そのとき私はなんとなく悟りました。もう駄目だ、と。そこでようやく今まであったこと、今感じていること、これからどうしたいかということを人生の先輩である親に相談することに決めたのです。

それまでは「こんな情けない話、親になんて言えないよ…」という気分が勝っていました。
同時に、大いに心配をかけていた友人にも相談。そこでようやく、今自分が置かれている状況があまりにも普通とかけ離れていることに気付いたというわけですね!
そこからはトントン拍子。
親の手助けもあり、なんとかブラック中のブラック企業から抜け出すことに成功! なお、パワハラ、セクハラ、モラハラが原因により、同期全員1年と経たず辞めています。同期とは今も仲良し。
退職後は普通に転職
理由はなににしろ、退職を思いとどまっている人の中にはおそらく、「転職先が決まってから…」「次が保証されているわけでもないし」と考えている人も多いのではないでしょうか。
でも経験者からすると、正直、そんな考えは無駄です。
なぜなら、選り好みをしなければ仕事は必ずあるし、手に職があるならなおさら仕事に困ることはないし、仕事をしながら転職先を探すのは肉体的にも精神的にもかなりつらいからです。
あくまでも私の考えなので自分で選んでほしいところですが、個人的には、スパッと仕事を辞めて、その分できた時間を就職活動に当てるほうが効率的、かつ落ち着いた行動ができるような気がしています。
現に私自身、辞めた直後は確かに不安に思うこともありましたが、割とすんなり転職先が決まりずっと楽になりました。(そして海外へ…)
そもそもなぜブラック企業に入社したのか
アルバイトや派遣など、一度でも自力でお金を稼いだことがある人はわかるかもしれませんが、実際に働いてみないと職場の雰囲気って案外わからないものですよね。
ここまでお話してきた会社についても、面接の段階では非常に良い感じだったのです。でも、やる気がある人ほど見切りをつけるのが早く、数カ月と経たず辞めていった。それは職場の雰囲気はもちろん、実際の業務内容があまりに過酷だったからです。
ちなみに、以降私が信頼できない言葉はこちら!
- アットホームな職場です!
- 自由な気風、風通しの良い職場です!
- やる気がある人募集中!
- 未経験でもやる気があれば教えます!
全部が全部そうとは限らないので、ぜひ自分の目で見て、耳で聞いて判断することをオススメします。
もしかしたら本当に言葉どおりの素敵な会社である可能性もあるので、職務内容が自分に合うのであれば、それを逃すのはもったいないことですよ!
【経験談】逃げは恥ずかしいことじゃない
- お前みたいな奴、ほかに雇ってくれるとこなんてないからな!
- 責任感なく途中で投げ出すのか?
- 今辞めて、親御さんはどう思うだろうなあ。
- これだからゆとりは!
こんな風に人格否定にも似たようなことをして、精神的に追い詰めていくのはブラック企業にはびこる悪(上司)の常套句。
こんなことを言われては辞める決意も揺らぐし、本当に悪いのは自分ではないのかと思ってしまうことすらあります。
嫌な仕事(職場)を辞める=逃げる
こう認識する人が少なくないからです。でも自分が実際に経験して思うのは、それは「逃げ」ではなく「自分の身と心を守る術」であるということ。
仮にそれを「逃げ」だと言う人がいるのなら、それでもいいでしょう。それならば、「逃げる」ことはまったく「恥ずかしいいこと」なんかではないと言いたいところです。
自分で辞める勇気はない…そんなときは!
長々と話してきましたが、私の場合は、親に救われた部分が大きかったと思います。
もし、誰も助けてくれない。誰も信用できない。恥ずかしくて人には言えない。そんな悩みを抱えているなら、近年メディアに取り上げられることが多くなってきた退職代行サービスを利用してみるのもアリです。
自分が苦しんでいた時期にそんなサービスがあれば、もしかしたら「辞める」という選択肢が消えることはなかったかもしれないし、きっと迷わず利用していたことでしょう。
なにしろ、すでに精神的に疲弊している状態で冷たい職場に「退職」を申し出るのは、かなり体力を使うからです。
退職代行サービスであれば、自分が直接職場に出向く必要も、上司と話す必要も、罵声を浴びせられることもなくスムーズに退職の流れに持っていける可能性がグーンと上がります。
自分の心を守れるのは自分だけ
例えば自転車で転んで怪我をした。
階段から落ちて骨折をした。
彼女と喧嘩して頬を叩かれた(暴力、駄目、絶対!)。
こんな風に、外から見える傷ってわかりやすいですよね。きっとなにを言わずとも「痛そうだね」「大丈夫?」「なにがあったの?」と周りも心配してくれることでしょう。
でも心の傷は目に見えない分、自分で守るのが最善の方法なのです。
もう無理だと思ったら、最悪の状況になる前に一度立ち止まって、本当にもうなにひとつ頼れるものはないか、考えてみてください。
この記事を読んで、少しでも自分の状況を俯瞰で見られる人が増えますように。そう願って。
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