1、2週間の短期から卒業を目的とした長期まで、高校留学の期間はさまざま。
「高校生で留学なんて早すぎる!」という意見はよく聞きますが、実際には、高校生という若さだからこそ得られるメリットもあります。
今回は、高校生のうちに海外に行くことのメリットを、デメリットと一緒に紹介します。
- 高校留学のデメリット
- 高校留学のメリット
本記事の情報は2023年11月時点のものです。最新の情報はご自身でご確認ください。
高校留学のデメリット
まずは、高校生のうちに海外留学をすることのデメリットをいくつか挙げていきます。
主なデメリットは以下の通りです。
- 高額な費用がかかる
- 日本語のスキルが下がる
- 日本の文化に疎くなる
- 日本にいたらできたであろう経験ができない
- 孤独感がある
高額な費用がかかる
まず、言わずもがな、費用はすべて親が支払うことになります。ただし、かつては「高校留学は裕福な家の子が行うもの」とされていたものの、いまは必ずしもそうとは限りません。
それでも親が高額な費用を支払うことに変わりありませんが、いまは留学ローンを組んだり期間を調整できたりと割と自由に計画できるようになっています。
日本語能力が低下する(可能性がある)
また、少なからず日本語のスキルが下がる可能性もありますね。
日本で生まれ育ち、十数年間生活していたとはいえ、十代ともなるとまだ「日本語が完全に定着した」とは言えません。現地の日本人(留学仲間)と話すときも、日本語と英語混じりの会話になりがちなので、英単語がすんなり日本語の単語に入れ替わってしまいやすいのです。
例えば、私の場合も、友人たちと「購買」のことを「canteen(キャンティーン)」と言っていました。「今日のランチ、キャンティーンで買わない?」というふうに。
そのうち「購買」という単語をすっかり忘れて、一時帰国した際に日本にいる友人に向かって「キャンティーン」と言ったら、まったく通じなかったわけです。けれども、だからといって「購買」という単語が思い浮かぶわけでもなく、「えーと、そうそう、あれあれ、あの、学校にあるランチを買ったりするところ……」というような説明をするしかありませんでした。
日本の文化や習慣に疎くなる
また、それと同様に、日本文化に疎くなるという側面も無視できません。
十代で海外留学をすると、日本の伝統行事や年間行事(盆や正月含め)の多くをスルーしてしまうことになるので、日本に帰ってくると結構戸惑います。「そういえばこの行事はこんなことするんだっけ……」と。
ただ、私がそうだったんですが、海外の文化に触れたからこそ、逆に日本の伝統文化(行事)を知りたいと思うようになる場合もあります。これに関しては人によるとしか言えないでしょうね。
日本にいたらできたであろう経験ができない
それに加えて、日本にいたらできたであろう経験ができないということも。
若いうちに海外暮らしを経験するということは、日本にいたらできなかったであろう経験ができるということです。
そして、それは裏を返せば「日本にいたらできたであろう経験ができない」ということでもあります。
私の場合は「日本で高校生活を送ってみたかった」「日本で学生デートしてみたかった」「文化祭や修学旅行してみたかった」……つまり、日本でしかできない青春体験をしてみたかったと何回も思いましたね。
ただし、先述した通り、それはつまり「日本にいたらできなかったであろう経験ができる」ということなので、どちらを取るかは本人次第です。
孤独感がある
日本での生活を捨てて(という言い方が正しいのかはわかりませんが)海外で一から始めるということは、想像以上に精神的な負荷がかかるもの。
というのも、高校生で留学するとなると、一部の稀なケースを除いて、現地には知り合いなど存在しないからです。
しかも、なにか問題が起きても、家族に頼るということもなかなかできません。
ただし、この点においては、海外オフィスを持つ留学エージェントを選べば問題なし。本人が行く国に現地オフィスがあると、なお安心ですね。説明会などに参加して、サポート体制などを細かく確認してみてください。
高校留学のメリット
海外の高校に留学(進学)するデメリットを紹介してきましたが、それ以上に多くのメリットがあるのが高校留学の魅力です。
- 語学習得がスムーズ
- 問題解決力が養える
- 国際感覚が身に付けられる
- 専門分野の基礎が学べる
- 将来の選択肢が広がりやすい
- 帰国子女枠で大学受験できる(可能性がある)
- 新しい自分に出会える
語学習得がスムーズ
一般的には、大人よりも子どものほうが吸収力が高いと言われていますよね。
なので、英語力の向上という観点で見れば、高校生のうちに留学してしまうとスムーズにいくと言えるでしょう。
ただし、これは「若いから、海外に行くだけで誰でも簡単に語学力を養える」ということではありません。
私も、留学する前より渡航したあとのほうが必死に英語を勉強した記憶があります。海外の高校に通うとなると、現地の言葉ができるか否かは生活の質に直結しますからね。
授業を受けているのに、宿題が出ていることさえわからないなんていうこともあり得ます(実話)。
それでも、大人より吸収力が高いのは事実。大人になってから海外に行くよりはスムーズに英語力を身に付けることができるでしょう。
問題解決力が養える
現地でなにか問題が起きた場合、ある程度のことは学校や留学エージェントに頼ることはできるかもしれません。
でも、日々起きる問題に対処できるのは自分だけ。家族に相談したいと思ったとしても、日本と海外では距離があるので、できることに限りがあるからです。
私の場合になりますが、例えば、ホームステイ先で意見の相違があったとき。大きな問題であれば学校や留学エージェントに間に入ってもらうこともできたでしょうが、些細なことであれば、その場で自分の意見を伝えるなり妥協点を見つけるなりして話し合う必要がありました。
「ホストファミリーにこんなことを言われた」「こう言われたが、自分は納得していない」みたいなことで、毎日のように連絡するわけにもいかないので。留学生活中に周りにいる大人たちは、留学生活がスムーズに行くよう手助けはしてくれるけれども、なんでもかんでも話を聞いてくれる都合の良い人というわけではありません。
できるところは自分で対処するようになった結果、問題解決力を養うことができます。
国際感覚が身に付けられる
高校生のうちから海外で生活していると、国際感覚が身に付けられます。
つまり、視野が広がるということですね。
現地の高校には、地元の生徒たちだけでなく、日本以外の国から留学してきた生徒も通っています。
実際、私が通っていた高校にも、韓国人やドイツ人、スイス人、ポーランド人など、いろんな国の留学生が集まっていました。
会話は当然英語になりますし、中には英語の話せない日本人に対してそう寛容でない生徒もいますが、それも含め、「世の中、本当にいろんな人がいるんだ」と考えされられるきっかけになったと思っています。
さまざまなバックグラウンドを持つ生徒や教師と関わることで、考えの幅がグッと広がりますよ。
専門分野の基礎が学べる
留学する国にもよりますが、多くの国では日本の高校とはまったく異なるカリキュラムを採用しています。
必修科目と選択科目で構成されているのは同じですが、基本的には時間割(タイムテーブル)を自分で決めるということも珍しくありません。
なお、私がいた国では、高校生になると必修科目はかなり少なかったので、ほとんど選択科目として自分で選ぶことになります。
ただし、大学進学を考えるのであれば、入学したい大学及び学部の受験科目で一定の単位を収めていなければならないという事情があります。
それも、卒業後に就職をする際、大学で何を学んでいたかというのはかなり重視されるので、高校生のうちから、将来的にどんな職業につきたいかということまで考えて、時間割を選ぶ必要があるんですね。
その分、選べる科目がずっと幅広いのが特徴です。
例えば、私のいた学校には、英語や数学、理科、社会などの日本でも一般的に見られる教科のほか、マーケティングやアカウンティング、インフォメーション・デザイン、メディア・スタディーズ、言語(日本語/フランス語/スペイン語/中国語)、写真、演劇、ホスピタリティー、ツーリズムなど、さまざまなものがありました。
将来の選択肢が広がりやすい
先述した通り、国際感覚が身に付けられるのも高校留学の魅力のひとつ。
それに加えて、カリキュラムが日本の高校とは異なるので、興味のある専門分野を見つけられる可能性もあります。
授業を通して学んでみることで、いつの間にか将来の夢が見つけられたということもあるかもしれませんよ。
現に、私はメディア・スタディーズの授業でメディアについて学び、ライターの仕事をするようになりました。
日本の高校には日本の高校の素晴らしいところがありますが、これは、海外の高校で学んでいなければ、思い浮かばなかった選択肢だと思っています。
帰国子女枠で大学受験できる(可能性がある)
帰国子女というと「海外で生まれ育った人」というイメージがあるかもしれませんが、こと大学受験の話をするのであれば、必ずしもそうとは限りません。
実は、大学の帰国子女入試は、海外の学校に2年以上在籍した者としている場合がほとんど。
大学によっては1年だったり1年半だったりすることもありますが、「意外と短いな」と感じる人は多いのではないでしょうか。
英語力の証明は必須になるものの、一般的には一般入試より競争率が低く、試験科目も少ないと言われています。
新しい自分に出会える
高校留学をした本人としては、実は、これが一番大きかったのではないかと思っています。
十代のうちに海外に行くと、大人になってから渡航するのとはまた違った視点で経験が積めますし、良くも悪くも、それまでは知らなかった新しい自分に出合えます。
例えば、私の場合、留学する前まではかなり人見知りで、悲観的。さらには、親がいないと何もできないという困った性格をしていました。
でも、海外に行くと、否応なしに自立することが求められますよね。
現地で知り合った留学仲間や大人たちに支えられながら努力しているうちに、いつの間にか自分の意見をしっかり持ち、発言できるようになっていました。
ひとつ大きなことを成し遂げられた。
それだけで自信につながり、自己肯定感が上がります。努力してできないことはあれど、そんな自分でさえ認めてあげられるようになったのです。
まとめ:デメリットを凌ぐ高校留学のメリット
何事もそうであるように、高校留学にもあるいくつかのデメリット。
でも、個人的には、それ以上の価値が確かにあると感じています。
海外に興味があるから。日本の高校でうまくいかないから。もっといろんなことを学んでみたいから。将来のために。
高校留学を考える理由は人それぞれですが、シンプルな気持ちから始めてみてもよいのではないでしょうか。