日本での生活をいったん置いて、一時的にでも主軸をオーストラリアに移す……というのは、かなりの勇気が必要なことですよね。
貯金をして、ビザを取って、いざ現地へ!
と意気込んでみたところで、結局のところ、ほとんどの人が現地到着後に仕事を見つけることになるでしょう。
「せっかく来たのに仕事が見つからない……」
実は、結構な人がこの問題に悩まされています。
本記事では、仕事が見つからないときに考えられる問題点(理由)と解決策、また、その場合における心の持ちようについてお話します。
- オーストラリアのワーホリで仕事が見つからない理由
- 仕事が見つからなかったときの解決策
- 仕事が見つからなかったときの心の持ちよう
本記事の情報は2023年10月時点のものです。最新の情報はご自身でご確認ください。
オーストラリアのワーホリで仕事が見つからない理由
オーストラリアのワーホリで仕事が見つからないときに考えられる理由はいくつかありますが、その中でメジャーなものを紹介します。
英語力が十分でない
まずは、なんといっても英語力が不足しているということ。
日本食レストランなど、同僚に日本人が多いような環境で働くのであれば、ある程度の接客英語ができていれば問題ありませんが、現地企業(カフェやレストラン含む)を選択した場合、日常会話以上のレベルで英語ができなくてはなりません。
「英語は苦手だけれど、現地のカフェで働きたい……」
こういった場合は、例えば皿洗い(ディッシュウォッシャー)などの高い英語力を必要としないポジションなら需要があることもあります。
(英語での)経験が浅すぎる
仕事に応募するときは履歴書や職務経歴書を提出することになりますが、オーストラリアで職歴をアピールする際には、自分が必要だと思ったもののみを記載することになります。
「A社(事務)とB社(カフェで接客)で働いた経験があるけど、今回はカフェに応募するからB社のことだけ書こう」という感じですね。
日本のものより自由度は高いですが、その分、しっかりアピールポイントを考える必要があります。
また、これは私の場合ですが、渡航時点ですでに数年の海外経験があったので英語力に不安はなかったものの、カフェを応募したときに「飲食店業務で英語を使ったことがないなら……」と落とされました。
落とされる理由としては、応募しようとしている職種の経験自体が少なかった場合、経験はあっても業務上英語を使用したことがなかった場合などが挙げられます。
タイミングが悪い
最後に、単純にタイミングが悪かったという場合があります。
ワーホリは当然空き採用を狙っていくことになるので、ポジションが空いていなければ、どんなに優秀な人でも断られてしまいます。
企業側が優秀な人材を求めている場合はあるでしょうが、正直、仕事ができるかどうかなんて、面接の段階ではわかりませんからね。
特に、ワーホリはビザの関係で働ける期間が決まっているので、現地の人を優先して雇用する企業がほとんど。履歴書を提出した時点で、たまたま人を雇う余地があったというタイミングが重要になってくるわけです。
実際、私は何十件もカフェに応募したのですがなかなか採用されず、その間に友人は初めて応募したレストランでポジションが空いたばかりだからとあっさり仕事が決まったというようなことがありました。
オーストラリアで仕事が見つからなかったときの解決策
オーストラリアのワーホリで仕事が見つからないときに考えられる理由は、上記の3つが大部分を占めますが、どれも一朝一夕にはどうにもならないものばかり。そこで、どうしたらよいのかを考えてみました。
仕事を探す前に語学学校に通う
ワーホリに来るような勇敢な人たちの中には、お金がもったいないからすぐに仕事を始めたいという人も多く見受けられます。
ですが、語学学校に通うメリットは仕事探しにも反映されるんです。
- 情報収集をする場所にもなる
- 多少なりとも英語力が身につく
- 仕事に応募する際「勉強してきた」という証明ができる
- コネが得られる(こともある)
類は友を呼ぶとはよく言ったものですが、語学学校には同じように仕事を探している人、仕事をしている人がたくさんいます。
「今、仕事を探しているんだ!」と公言していると、「そういえば、あそこのレストランがスタッフ募集していたような……」「少し遠いけど、私の家の近くのカフェにスタッフ募集の貼り紙出てたよ」というふうに、情報が集まってきます。
また、オーストラリアのワーホリビザは取得しやすいからこそ、その反面、英語がままならない状態で渡航する人もかなり多い印象です。
もちろん悪いことではないのですが、英語ができないから……と消極的な状態になってしまうと、それこそポジションに空きがあった場合でも、採用されにくくなってしまいます。英語ができないうえに自信がない人を雇おうという人は少ないということですね。
そして、実は、仕事探しで一番大事なのはコネ。
コネクションというと、日本ではあまりよくないイメージがあるかもしれませんが、オーストラリアでの就職活動においては一般的な手法です。
ワーホリでオーストラリアに渡航しても、当然最初のほうは知り合いもいませんよね。コネを作るのはなかなか至難の業です。
その点、語学学校に通っていれば、例えば「私、カフェで働いている知人がいるんだけど、オーナーが仕事を探している人はいないかって言っていたみたい。公に募集しているわけじゃないみたいだから、私から聞いてみようか?」というようなことが起こり得るわけですね。
もっとも、コネで紹介してもらった場合でも面接などはありますが。
あと、語学学校のプログラムを無事に終えると、ほとんどの場合「修了証」がもらえます。英語力に不安があっても、少なくとも(仕事を見つけるために)勉強をしてきたという証明ができるということです。
雇用主に、意欲だけは誰にも負けないのだとアピールすることもできますね。
ただ、やはりワーホリは期間が決められていますから、お金だけでなく時間ももったいないと感じがち。私も当時はそうでした。
私の場合、英語力に不安はなくとも現地に知り合いがいなかったので、渡航当初の1カ月は語学学校に通うことにしていました。
結論として、1カ月では短かったということがわかっただけでしたね。
入るクラスにもよるのかもしれませんが、1カ月で親しい友人を作るのは難しいように感じました。なので、残念なことに、仕事探しにはあまり役立ちませんでした。
英語力向上が目的である場合はなおさら足りないでしょう。
周囲の経験談などを聞いていて思ったのは、語学学校に通うのであれば、最低3カ月は必要なのではないかということ。
幸い、オーストラリアのワーホリはセカンドビザ/サードビザが認められています。長いワーホリ生活をできる限り充実させるための数カ月と思えば、語学学校に通いたくなる人も多いのではないでしょうか。
費用に関しても本当にピンキリなので、目的や期間などによってしっかり下調べしておくことをおすすめします。
希望レベルを少しだけ下げてみる
例えば、カフェジョブ(カフェの仕事)などでは、接客スタッフをするよりキッチンや皿洗い(ディッシュウォッシャー)のほうが採用されやすい傾向にあります。
なぜなら、接客スタッフほど英語力はいらないし、接客技術もさほど必要ないし、給与も低い場合が多いから。
私も、最初は接客スタッフの募集に応募し続けていたのですが、空きがないからだとか、カフェ仕事で英語を使った経験がないからだとか、そういった理由で何カ月も落ち続けました。
仕方がないので、涙を呑んで、ディッシュウォッシャーとして雇ってもらえないかとカフェのオーナーに頼み込みました。内心は「英語ならできるのに、どうして……」「海外に来てまで皿洗いなんて、なんの経験にもならない……」と思いながら。
すると、なんと採用の連絡が。
最初はお金のためだと嫌々働いていましたが、ディッシュウォッシャーとして働いているうち、英語力に問題がなく、普通に意思疎通ができるうえ、接客もできそうな感じがすると判断してもらえたのか、接客スタッフに昇格し、その後一般のバリスタを経て、ヘッドバリスタにまでなりました。
ここまでくれば、他のカフェにも堂々と応募することができます。
なので、希望するレベルを少し落としてみて、それから徐々に経験を積んでいくというのもひとつの手です。急いては事を仕損じるとはまさにこのことですね。
履歴書/職務経歴書はとにかく配りまくる
オーストラリアでカフェやレストランなどに履歴書を提出するときは、直接そのお店に赴いてスタッフに手渡すのが一般的です(インターネットで募集している場合もあり)。
ただ、オーナーがその場にいなかった場合は「あとで連絡するね!」と言われることが多いんですね。
そうすると、オーストラリアでの求職活動に慣れていない人はつい連絡を待ってしまいがち。
これが間違い。
本当に連絡が来る可能性もあるにはあるんですが、そもそもスタッフの募集をしていなかった場合は、履歴書がオーナーに渡ってすらいないということもあります。
なので、実際に連絡が来るかどうかはわかりません。
もちろん、履歴書だけは残していてくれて、数カ月後スタッフの空きが出来たときに連絡が来たなんていう話も耳にしたことはあります。ですが、それをずっと待ってはいられませんよね。なにもかもが不確定すぎます。
ひとつのお店に固執することなく、履歴書はとにかく配りまくりましょう。
仕事が見つからなかったときの心構え
どんなに頑張っても仕事が見つからないときの絶望感は計り知れません。
お金もないし、刻一刻と時間もすり減っていっている。
焦ります。
私もそうでした。
でも、必要以上に不安がることはありません。
仕事は決まるときには決まるし、決まらないときには決まらない。そんなものなんです。
私は語学学校に通い1カ月、プログラム修了後さらに3カ月、毎日就職活動をしていたにもかかわらず、色良い返事をもらえたことは一度もありませんでした。
そんなとき、あっさり仕事を決めてきた友人に言われたのが「決まるときは自分でも戸惑うぐらいとんとん拍子に決まる」ということ。
そのときは、追い詰められていたこともあって、なんて信じがたいことを言うのだろうとすら思っていました。お金が底を尽きかけ、あと2週間でなにもなかったらもう帰国しなければという状況だったんですね。
日本の友人や家族にも、もう無理かもしれないから帰国することになるだろうと伝えていました。
ですが、自分で決めた期限の2日前、いよいよ飛行機のチケットを予約しようと思い始めていたときに決まったのです。仕事が。それも2つも同時に。
両方ともディッシュウォッシャーでしたが、背に腹は代えられぬと掛け持ちすることにしました。結果、最終的にはヘッドバリスタにまでなれたのですから、本当になにがあるかわかりませんね。
ですが、私がここまで追い詰められたのには理由があります。
それは、日本食レストランは絶対に選ばなかったということ。
当時は、日本食レストランのスタッフは日本人ばかりで、英語を生かせる場所ではない。そのうえ、給与が違法レベルで低いだろうと思っていたのです。完全に偏見です。
実際は、日本食レストランでも接客は英語だし、同僚には日本人が多くともオーナーは違う可能性があるので、英語を生かす云々はあまり関係がなかったような気もします。
それに、確かに現地のカフェに比べると給与が格段に低くなる場合は多いのですが、しっかり選べば必ずしも待遇が悪い場所ばかりというわけでもありません。
つまり、なにが言いたいのかというと、仕事を見つけるというのが目的なのであれば、完璧主義な自分は捨て去ってしまうことが大事なんですね。
焦るとどうしても空回りしてしまいがちです。
スキル向上が目的なのか、仕事をしたいだけなのか、それともお金を稼ぐことが第一なのか――自分の中で優先したいものを明確にして、ゆったりと構えていれば、そのうち理想とする仕事が舞い込んでくるかもしれませんよ。
もちろん、そのために諦めない心を持つこと、行動を続けることはなによりも大事です。
まとめ:必ずしも理由があるとは限らない
仕事が見つからないとなると、どうしても自分の中に理由を求めてしまいがち。
でも、実は、必ずしもそうとは限らないのがオーストラリアにおける求職活動の難しさです。単純にタイミングが悪いだけだったという場合があるのですから。
履歴書を配っても反応がないと悲しくなりますが、ある程度割り切った気持ちで、積極的に行動していく必要があるということですね。